フィリピン
人間性と環境面のバランスの取れた地域社会を求めて。
フィリピンは7100余りの島々から成り立っている島国です。そのルソン島に首都マ
ニラがあり、そこから車で5時間ほど北に行くと、サンバレス州の州都イバがあります。
1991年6月20世紀最大規模と言われるピナツボ火山の噴火があり、65万人が家をなくし、10万キロ平方メートルの農地が土砂に埋もれました。被災者の避難先として、ABS−CBN財団がこの地に地域開発センターを設立しました。
ABS−CBN財団は、フィリピン最大のテレビ会社ABS−CBNに付随する慈善事業団体です。彼らはより地域に密着した農業支援を行うために、TRD(total rural
development)と名称を改め、サンバレス州副知事や地元にあるラモン・マグサイサイ・テクニカル大学教授らを理事に迎え、NGO団体として2001年新たに活動をスタートしました。彼らの目指すところは、精神性、倫理性、社会への奉仕を基とする、人間性と環境面とのバランスの取れた地域社会を生み出すことにあります。目的を等しくする団体が手を取り合うことで、より大きな地球家族として向上しあえることを信念として、良き友人となるパートナーを探していました。その友人となったのが、秀明自然農法ネットワークです。2003年4月フィリピン国際会議場でのアースデイを祝う集まりにて、TRD理事であるデニス・テベス氏との出会いがきっかけとなりました。
TRDが秀明自然農法ファームのために1ヘクタールの土地を提供し、2004年1月15日にパートナーシップを結ぶ調印式が行われました。水田2反、畑3反、果樹1.5反、樹木2反、池0.5をデザインしたのは室田禮冶さんです。彼は瀬戸内海にある黄島という小さな島で38年間にわたって秀明自然農法に従事してきました。黄島では当初農地を開墾し続けていたため、長年水不足に悩み、島周辺の海でも、海藻は少なくなり、魚も減少していったそうです。あるとき天から頂く水を大切にしようと、木を植えることを考えたのです。樹木が根により水を蓄えだし、緑溢れる美しい島になりました。すると周囲の海自体の自然循環が改善されてきたのです。島から流れる水が滋養分のあるミネラルを含むようになり、周りに海藻が増え、魚が集まる豊かな海となったのです。このような水の少ない黄島での経験が今、イバで活かされています。
イバは8ヶ月の乾季と4ヶ月の雨季というはっきりと違う2つの季節しかない厳しい天候です。乾季には川からポンプでため池に水をくみ上げ、水田と畑に水を循環させています。
現在は室田さんの指導のもと、2人の日本人と2人のフィリピン人が作業をしています。お米、キャッサパ、サツマイモ、とうもろこし、パパイヤ、パイナップル、マンゴー、バナナが主要作物で、他にサトウキビ、レモン、オクラ、長豆、トマトなども育てています。果物は地域のフェスティバルで販売しています。
TRDはTRDインスティチューションとして教育機関を立ち上げ、セミナーを開催し、
近隣農民たちへの啓蒙、教育を始めています。秀明イバファームにも月間平均50名を超える訪問者を迎えており、室田さんによる秀明自然農法セミナーも開催しています。主な見学者としては地域の農業省の役人、農協のスタッフ、大学生、農家の人たち、学校の先生方、はるばる他州からも多数見学に来ています。セミナーでは、自然堆肥作りを教えています。今後はTRDとの協力により、近隣の農家に対しては5人ほどモデルファームを募り、小さい規模から始め、現地の農家の方々ができる秀明自然農法とは何かを見極め、自立できるようお手伝いしていき、住民に対しては体験セミナーを増やして、秀明自然農法を伝えていきたいと考えております。
