感謝と愛情



古来より、生きとし生けるもの全てには魂が宿っていると考えて自然と接してきた祖先たちは、太陽の光や雨によってもたらされる水、すべての動植物を育んでくれる大地など、自分の周りに在るすべてのもののお蔭で生きられるのだということに感謝し、祈りを捧げていました。もともと私たちは、土も作物も動物も目に見えない微生物に至るまで、私たちと等しい生命であり自然の一部として共に生きてきた仲間だとわかっているのです。岡田茂吉師の提唱した自然農法の根本は、『自然順応・自然尊重』という日本人が遥か昔から営んできたこの生き方にあります。
全ての生命がお互いに尊重し合い支え合うことで世の中の全てのことは成り立っているのですから、そのことに感謝して、相手に愛情を込めて自分にできることを返していれば、自然はより一層の恵みを私たちに与えてくれます。大自然に感謝し、その営みをつぶさに観察し、その在り方を田んぼや畑に写すことができたなら、肥料や農薬などの人為的なものを使わなくても、作物は必要以上余るほど穫れる。すべては自然が教えている、と岡田師は説かれました。大自然と生産者の間にある感謝と愛情こそが鍵なのです。
大自然の愛情とエネルギーを作物という形で届けてくれた生産者に感謝し、また、その奥にある大自然にも想いを馳せて作物をいただく時、食べる人もまた大自然と生産者の間にある感謝と愛情の環の一部になることができます。この感謝の循環の中に入れた時、食べた人は心も体も癒され、より健康になり、幸福になったと感じられるように変わっていきます。
私たちは岡田師の提唱する自然栽培法を継承・普及することで、世界に感謝と愛情の環を広げていきたいと願っています。

