「日本人の主食はお米」というのが通念ですが、最近では食生活の欧米化やさまざまな理由から米離れが進んでいます。
パンを食べても「朝ごはん」、食事をすることを「めしを食う」と言うように、「ご飯」という言葉が食事全体を意味するくらい日本の食は「お米」が主役のはずでした。しかし、1人あたりの年間消費量がピークであった昭和37年の118.3㎏から、令和4年には50.9㎏にまで減り、代わりにパンや麺類を多く食べる人が増え、若い世代では顕著です(グラフ参照)。

出典:総務省統計局「家計調査/家計収支編 二人以上の世帯 年報」

出典:日本農業新聞「東京都内20代100人街頭調査 2016年」
2つのグラフから、主食がお米だという人が57%もあるのに、お米を炊かずに、買って食べている人が多いという結果が見てとれますが、その理由は家でお米を炊き、食事とするのは「手軽でない」ということが大きな要因のようです。
お米を炊くことは、手間がかかる、またパンや麺類と違い別におかずが要る、などの理由で家でお米を炊く人が減り、中食(惣菜、スーパー、コンビニ弁当などの調理され販売されているもの)や外食が増えているようです。中食、外食は素早く食べられたり、簡単に調理、片付けができ、まさに手軽で時短で忙しい現代人にはもってこいなのかもしれません。
女性の社会進出、就業率や男性の未婚率の上昇、それに伴う世帯人数の減少が原因でお米を炊いて食べるということが減っているとも言えますが、「食」に対しての意識が低くなり、「食べること」を軽んじてるのではないでしょうか。私はそうでした。どんな物をどんな思いで食べるかで、体もですが、特に内面、心が正常に保たれ、維持されるかに大きく影響すると思います。
子どもの塾や習い事、またゲーム、娯楽、より便利な暮らしのためにお金を稼ぐことが大切と考え、少し手間をかけて、ご飯を炊いたり、感謝で自然の恵みを頂き、四季を味わうことの素晴らしさが薄れてしまってる結果かもしれません。
本当の豊かさとは何か、人間も自然の一部だということを、お米を通して考えてみてはいかがでしょうか。
最近、糖質制限ダイエットがブームですが、しっかりお米を食べていた昭和37年に比べ、糖尿病が約40倍に増えたのも事実です。
お米は約3000年前から食べられており、日本人にとって馴染みも歴史も深く、お米と共に生き、感謝し、
文化も生命も繋いできたソウルフードです。稲の花言葉は「神聖」。「いね」は生きる根、生命の根という意味があり、各地に残るお祭りも、神意によって稲が豊かに実り栄える国という意味の日本を表す「豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)」という言葉からも、お米は神様からのお恵みで神聖なもの、古来より神様とのパイプラインであったことがわかります。
また日本はお米の栽培に適した気候なので、お米が作れることでひとつの場所に安心して住め、食べ物に困らない暮らしができ、「米」は長年、日本人の命を支え、先祖からの命を繋いできました。
私たち日本人は長い長い時を経て、お米をしっかり食べて元気に過ごせる体になりました。
秀明自然農法提唱者、岡田茂吉師の論文には『食物はすべてその土地の気候風土によって幾分の差異はあるが、それがその土地に生まれた人間に適すべく生産されているのである』とあります。お米は日本人にとって必要で、とても大事で特別な食べ物なのですね。
長い歴史の中で、日本人の体にはお米が最適! となったと言えるのではないでしょうか。
そんなお米ですが、ある会員のIさんはあまり好きでなく、ほとんど食べていませんでした。その代わりにとても不自然で偏った食生活を長く続けており、ある日突然立っていることもできなくなり、いろいろな病気になっていました。甲状腺腫瘍、重度の貧血、低血糖、低体温症、婦人科系の病気など体の中だけでなく、体が歪み、腰痛や足の痺 しびれなどで一日の半分は寝ている状態でした。そこでやっと食べる物で自分の体ができている事、食べ物の重要さに気付き、秀明自然農法の自然米を毎日頂くようになりました。
低体温症で34℃台だった平熱が、半年経った頃36℃台になり、体の痛みも和らぎしっかり動けるようになり、ピンポン球くらいのおにぎりを食べるのがやっとだったのが、今ではお茶碗山盛り必須で、お米がおいしくておかずは少しでお米ばかり食べているそうです。一般的には栄養不足、偏った栄養と思われる食事内容ですが、岡田茂吉師の論文『実は、穀物の栄養が主であって、副食物は従である』『米の飯は年中食ってても飽きがこないでしかも一番の栄養になります』の通り、どんどん元気になり、体重は適正値まで増え活力が増してきました。彼女はお米で、それも農薬や肥料を使わない清らかな生命力たっぷりの自然米で、とても元気にしていただきました。
他にもIさんはお米の凄さを感じた体験をしたそうです。秀明自然農法のお米一粒を、育った田んぼの土を頂いて、バケツ稲として育てました。たった一粒から何度も分げつを繰り返し、太陽の光をたっぷり浴びてぐんぐん伸びて、土の力と空気や水といった自然のエネルギーだけで、力強く青々と成長してキラキラの朝の光の中で花を咲かせ、約5000粒のお米ができました。とても神秘的で感動したそうです。大自然、神様が与えてくださった目には見えないエネルギーが、自然米の生命力の源だと思いました。そんな大自然の恵みをたっぷり吸収して、お米は毎年ありがたい生命の糧をもたらしてくれます。
一般的にお米は太りやすいイメージがありますが、お米は製粉したパンや麺類と違い粒のまま食べるため、体内ででんぷんが糖に分解されるまで時間がかかり、消化吸収が緩やかなだけでなく、お米の糖質は甘いパンやお菓子に比べ血糖値の上昇が緩やかで、脳や筋肉にとても必要なエネルギー源です。
また、「パンとお米ではどちらが脳の成長に役立つか?」という東北大学の研究では、毎朝パンを食べる子どもよりも、毎朝ご飯を食べる子どもの方が脳細胞の量が多く、IQ(知能指数)も高いということが分かったそうです。
戦国時代の侍は玄米と麦を混ぜたものを1日最低6合食べていたそうです。重い兜 かぶとや鎧 よろいを着け過酷な環境で何日も戦い抜ける、お米には私たちの想像以上のパワーがあり、日本人に適したスペシャルフードではないでしょうか。
お米を通して自然を畏おそれ敬い、自然と共生して心豊かに生きていくという心が本来日本人の根底にあり、世界的に地産地消で環境を大切にしながら暮らすSDGsの達成を目指す今、私たちの健康に有効で清らかで生命力溢れるお米を、家族や仲間とおいしく、ありがたく、しっかり頂き、嬉しい!幸せ! と感じて、心も体も健康になりましょう!