浄化作用

浄化作用

In Converting to Natural Farming 自然農法へ転換するにあたり

自然農法に切り替えたばかりの頃、思うように作物が育たず、戸惑うことがあります。芽が出なかったり、虫に食われてしまったり…。けれどそれは、自然農法が失敗しているのではありません。むしろ、そこから本当の農の再生がはじまるのです。

これまで慣行農法で使われてきた農薬や化学肥料は、土の中の微生物の働きを弱め、土そのものの生命力を損なってきました。また、肥料に依存して育った作物は、自然の力ではなく人工的な養分を吸うように“変質”してしまっていることがあります。こうした影響が、自然農法への転換初期に現れる「育ちにくさ」として現れるのです。

Believe the inner power of soil and crops 土と作物の“ほんとうの力”を信じて

岡田師は、この期間に現れる病気や害虫の多発を「浄化作用」と説かれました。つまりそれは、土や作物が本来の姿に戻ろうとする過程で起こる、必要で尊い作用なのです。農薬や肥料の影響で蓄積された不自然なものを、虫たちや病気が「掃除」してくれているとも言えるでしょう。

この浄化の時期を乗り越えるために大切なことは、まず「悪いことが起きているのではない」と心を切り替えることです。そして、

  • 虫や病気に「作物をより健康にするために来てくれてありがとう」と感謝を伝えること
  • 土に「どうか作物がより健康になれるように助けてあげてください」と祈ること
  • 作物や土の生命力を信じて、農薬や肥料に頼らず見守ること
  • 土の中の火と水のバランスを整えてあげること

これらが何より大切になります。

最初の数年は、時に苦しい時期が続くかもしれません。でも、じっと見守り、自然の営みに心を合わせてゆくうちに、土も作物も少しずつ、しっかりと変わっていきます。中には10年以上かけて、本来の力を取り戻す田畑もあります。それでも、そこに育つ野菜は、かけがえのない“いのちの恵み”として、私たちに応えてくれるのです。

多くの自然農法実践者が、「あの時あきらめずにいてよかった」と振り返ります。自然の力を信じる心、そして作物や虫たちへの感謝の思いが、確かな未来への道を照らしてくれるのです。

また、これは一部の実施者の体験談ですが、自然農法を始めるにあたり、そこの土に「これから自然農法をここでやっていくので、どうか力を貸してください」とお願いすると、実施早期のうちから作物がよく育つという話もあります。感謝と愛情こそが最大の浄化エネルギーとなるのです。